フレックスタイム制・変形労働時間制の時間計算
日ごとではなく、期間全体で判定するこの2つの制度の考え方を、通常勤務との違いと実例で解説します。
2つの制度の違いを整理
清算期間の考え方
期間残高シミュレーター
通常勤務との比較表
フレックスタイム制と変形労働時間制は別の制度
この2つはよく混同されますが、法律上は異なる制度です。
- フレックスタイム制 — 労働者が始業・終業の時刻を自分で決められる制度。1日単位ではなく、清算期間全体の実働時間で管理します。
- 変形労働時間制 — 会社があらかじめ、日や週によって異なる所定労働時間を設定できる制度。始業・終業時刻は会社が決めますが、繁閑に応じて労働時間を配分できます。
共通点:どちらも「1日8時間・週40時間を超えたら即残業」という通常勤務のルールを、一定の期間内で平均化する仕組みです。何が「残業」になるかの判定方法が、通常勤務とは異なります。標準的な残業計算の考え方は 残業時間計算電卓 で確認できます。ここでは、この2つの制度に特有の判定方法だけを扱います。
フレックスタイム制の時間計算
コアタイムとフレキシブルタイム
フレックスタイム制の1日は、通常この2つの時間帯で構成されます。
- コアタイム — 必ず勤務しなければならない時間帯(例:11:00〜15:00)
- フレキシブルタイム — 始業・終業の時刻を労働者が選べる時間帯(例:7:00〜11:00、15:00〜20:00)
清算期間で判定する
フレックスタイム制の残業は、日ごとではなく清算期間(最長3か月)の合計実働時間で判定されます。清算期間中の法定労働時間の総枠は次のように計算します。
清算期間の法定労働時間の総枠 = 40時間 ÷ 7日 × 清算期間の暦日数
例:清算期間が1か月(30日)の場合
40 ÷ 7 × 30
≈ 171.4時間
例:清算期間が1か月(30日)の場合
40 ÷ 7 × 30
≈ 171.4時間
日によって偏りがあっても平均化される例
ある月で、6時間の日と10時間の日が混在していたとします。
第1週:6h+6h+6h+6h+6h = 30時間
第2週:10h+10h+10h+10h+10h = 50時間
第3週:8h+8h+8h+8h+8h = 40時間
第4週:7h+7h+7h+7h+7h = 35時間
合計 = 155時間(総枠 約171.4時間以内)
第2週:10h+10h+10h+10h+10h = 50時間
第3週:8h+8h+8h+8h+8h = 40時間
第4週:7h+7h+7h+7h+7h = 35時間
合計 = 155時間(総枠 約171.4時間以内)
ポイント:第2週は1日10時間の日がありますが、通常勤務のように「その日だけ2時間分残業」とはなりません。清算期間の合計が総枠(約171.4時間)を超えていなければ、残業は発生しません。
変形労働時間制の時間計算
変形労働時間制には主に「1か月単位」と「1年単位」があります。会社があらかじめ、対象期間内の各日・各週の所定労働時間を具体的に定めておく点がフレックスタイム制との大きな違いです。
平均化のルール
対象期間を平均して週40時間以内に収まっていれば、特定の日に8時間、特定の週に40時間を超えても、あらかじめ定めた所定労働時間の範囲内であれば残業にはなりません。
1か月単位の変形労働時間制の例
第1週(繁忙期):9h×5日 = 45時間(あらかじめ設定)
第2週(閑散期):7h×5日 = 35時間(あらかじめ設定)
第3週:8h×5日 = 40時間
第4週:8h×5日 = 40時間
合計 = 160時間 ÷ 4週
週平均 40時間(適法)
第2週(閑散期):7h×5日 = 35時間(あらかじめ設定)
第3週:8h×5日 = 40時間
第4週:8h×5日 = 40時間
合計 = 160時間 ÷ 4週
週平均 40時間(適法)
注意:第1週の45時間は、通常勤務であれば週5時間分の残業になりますが、変形労働時間制であらかじめ「その週は45時間」と定められていれば残業にはなりません。ただし、あらかじめ定めた時間を超えて働いた場合は、その超過分が残業になります。
清算期間 残高シミュレーター
週ごとの実働時間を入力すると、清算期間全体の合計と、法定労働時間の総枠との差(残業の目安)を確認できます。フレックスタイム制・変形労働時間制のどちらの考え方の確認にも使えます。
通常勤務との比較
| 項目 | 通常勤務 | フレックスタイム制 | 変形労働時間制 |
|---|---|---|---|
| 始業・終業 | 会社が固定 | 労働者が選択(コアタイム除く) | 会社があらかじめ設定 |
| 残業の判定単位 | 1日・1週ごと | 清算期間(最長3か月)ごと | 対象期間(最長1年)ごと |
| 日ごとの偏り | 即・残業扱い | 期間内で平均化 | あらかじめ設定した範囲内は平均化 |
| 標準的な計算方法 | 残業時間計算電卓参照 | 本ページ参照 | 本ページ参照 |
よくある質問
フレックスタイム制で残業代はどう計算しますか?
日ごとではなく清算期間全体の実働時間の合計が、その期間の法定労働時間の総枠を超えた分が残業(時間外労働)として扱われます。
変形労働時間制と通常勤務の違いは?
通常勤務は1日8時間・週40時間を超えた分が残業になりますが、変形労働時間制では対象期間内で平均して週40時間以内であれば、特定の日や週に8時間・40時間を超えても、その部分は残業として扱われません。
コアタイムとフレキシブルタイムの違いは何ですか?
コアタイムは必ず勤務しなければならない時間帯、フレキシブルタイムは始業・終業の時刻を労働者が選べる時間帯です。フレックスタイム制ではこの2つを組み合わせて1日の勤務時間を構成します。
清算期間とは何ですか?
清算期間とは、フレックスタイム制において労働時間の帳尻を合わせる単位となる期間のことで、最長3か月まで設定できます。この期間の合計実働時間をもとに残業時間が判定されます。